子どもの最善の利益

日本ユニセフ協会

国連の児童の権利に関する条約や児童福祉法に基づいて、「子どもの最善の利益」を支援者が追求するとき、ともすると子ども自身が置き去りにされ、子どもの代弁者と称する支援者が、支援者自身の独我論的論理でもって「子ども最善の利益」を主張すると言う本末転倒の事例が時々見られます。

こうした支援者は、保護者の不適切な養育に苦悩する子どものレジリエンスや問題解決能力を案外信じておらず、子どもの受けるリスクや脆弱性ばかりを強調し、子ども本人の意志や気持ちには関係なく、不適切な養育をする保護者からの分離による保護主義的な救済を急進的に求めがちです。

しかし子どもは、生まれた時から、世界との不一致・一致にする不快・快にとても敏感であり、その苦悩を症状や問題行動を含めて、全身でもって必死に表現します。ただし自らの意思を言葉でもって表現するには発達が必要であります。

それだけに大人は、子どもの声なき声にすら注目し、児童福祉法にも取り入れられた子どもの意見表明権や子どもの聴かれる権利を徹底的に保障していく必要があるのです。ほどよい養育とは、子どもの症状や問題行動を含め非言語的交流を含め絶えず子どもとの対話の中で、子どもにとっての最善の利益を子どもの意志にそって模索し続けることと思われるのです。