“こころ”とは(44):非合理的で予測不可能な現象

多層多次元な要因が複雑に絡み合って、その都度、立ち顕れてくる“こころ”の現象は、物理現象のように因果論的な枠組みで合理的に理解することには限界があります。

こうした限界を無視すると、さまざまな弊害が出てきます。因果論的なパラダイムの合理性が破綻するような出来事に遭遇したときに、いとも簡単に“こころ”の全体の活動が停止してしまったり、これまでの“こころ”の秩序の解体や崩壊を招く危険性があるのです。“こころ”の現象の理解の仕方そのものが、その人の“こころ”の現象に深く影響しているのです。

“こころ”の現象においては、非合理的で、予測不可能な現象との遭遇性を常に含んで理解しておくことが大切なのです。またそうした非合理的な未知の出来事との遭遇時にこそ、“こころ”の働きによる新しい智慧の創発があるのです。