ホロニカル心理学が、直接体験レベルでは、自己と世界の不一致・一致の非連続的連続が繰り返されていると語るとき、不一致と一致が時間的・空間に連続して直接体験を形成していると考えているのではなく、瞬間・瞬間において、不一致と一致が双面的背反的に両立していると考えています。
直接体験においては、自己と世界が不一致即一致・一致即不一致にあると考えているのです。不一致・一致は不可分離の関係にあります。
自己と世界が一致する面では、すべては絶対無分別、絶対無差別、絶対無限定であり、「意識と存在のゼロ・ポイント」(井筒俊彦, 1993)の「無」の極面が潜在的となります。それに対して不一致面では、「無」の面が潜在的にはそのままでありながら、すべてが言葉によって分別され、識別され、重々無尽の「有」の現象世界の面が顕現的になっていると考えています。
<参考>
「意識と存在のゼロ・ポイント」(井筒俊彦, 1993)