“こころ”の多層多次元性

知覚・思惟・認識・判断・意志・気分・情動・感情・情緒・倫理・・・など、実に様々に識別される“こころ”の顕れは、同一の直接体験に対する観察主体と観察対象の組み合わせの差異として統一的に理解できます。

西田幾多郎は、次のように指摘します。「自己が自己を反省する即ち之を写すといふのは、所謂経験を概念の形に於いて写すといふ様に、自己を離れて自己を写すのではない、自己の中に自己を写すのである。」(西田幾多郎全集第2巻、16p)

ホロニカル心理学では、西田のこうした指摘を、次のように読み替え、かつ再構成的に捉え直します。「自己が、自己と世界の不一致・一致直接体験に自己自身を写し、かつ自己を自己表現しようとするところに、自己にとって多層多次元にわたる自己意識が生まれる」と考えます。