他律的内的現実主体(4):ホロニカル心理学の新しい概念

外面と内面の二面性を表現した図。Image Creatorで作成。
外我と内我(Image Creatorで作成)

ホロニカル心理学では、内我(内的現実主体)は本来自己と世界の不一致・一致の出あいの直接体験の断片を直に直覚し統合する働きと定義しています。しかし、内我の働きが直接体験を志向せず、逆に外我と一体化してしまうタイプの人が増加してきています。

そこでホロニカル心理学では、内我が、自己と世界の出あいの直接体験を志向せず、逆に外我ばかり志向している内我を、他律的内的現実主体と概念化しています。

しかし観察主体が、外我と他律的外的現実主体の一体化によって構成されてしまうと、自己と世界の不一致・一致の出あいの直接体験自体は、徹底的に知性的な観察対象の識別・分別の対象となり、全体的自己は失感情的になります。内的現実主体は、観察主体となる外我と一体化しているため、身体的自己の底において自己と世界の不一致・一致を繰り返す直接体験を直覚しなくなってしまっているのです。その結果、自己は、アクチュアルな実存的感性を失い、理性・知性優位に生き方に支配されてしまいます。

こうした状態にあって、もしも、外我の理性や知性の識別基準となっていた外我が内在化していたホロニカル主体(理)が体系的統合性を失ってしまうと、他律的内的現実主体も外我も共に統合性を失い、自己意識の発達段階は一気に第2段階にまで退行的に解体していく危険性があります。

また、他律的内的現実主体は、自己と世界の不一致に伴う違和感や憤怒など、強い情動を伴う直接体験の断片に対しては、徹底的に否認・隔離されているため、否認・隔離された情動や身体感覚は、一気に現実主体(外我・内我からなる)に乱入し、様々な症状を形成することになります。