回復について

心理社会的支援の場では、「回復」という概念は馴染みません。

「回復」という概念には、「元に戻る」という意味が含まれています。そこには、「正常」「健康」「安定」「適応」からの逸脱状態である「異常」「病気」「不安定」「不適応」から元に戻ったという意味が含まれています。

しかし、こうした概念は、まさに病気や障害を治す、元に戻すことを期待されている医療現場の領域では適合する概念ですが、「苦悩」や「生きづらさ」をもっぱら扱う心理社会的支援領域では、「新しいステージに変容した」「新たな自己変容を成し遂げた」「成長した」といったように時間的・物語的な表現の方が適切と内的世界と外的世界を共に扱うホロニカル・アプローチでは考えます。