子ども虐待(6):通告制度の見直しと児童福祉の未来

児童福祉の支援現場に長く関わってきた経験から思うことがあります。

虐待通告があった家庭に対する関係機関や児童相談所の家庭訪問は、単に安全確認や情報収集、監視の意味合いだけでなく、危機に瀕した家庭や子どもにとって、支援や援助を受けられる契機となるような制度に改めていく必要があるということでず。

保護者を加害者とすることを暗黙の前提とする虐待通告が増える続けているということは、現代日本が、良き子育て文化を失い、社会全体が監視社会へと向かっている兆候と危惧します。

指数関数的に上昇する児童相談所への虐待通告と保護主義的な流れでは、危機に瀕した家庭への対応は、すでに限界に達しています。しかも、通告後の経過は、ほとんどが在宅状態での対応となるのが現実です。こうした現実を直視し、全体を俯瞰的に見直すとき、虐待通告の意味は、危機に瀕した家庭に対して児童相談所や行政に対応を求めるという意図ではなく、通告する人自身が、どのようにすれば危機に瀕した家庭の支援になるのかを児童相談所に相談する意図に再定義する必要があると考えます。

「来てしまった児童相談所」ではなく、「来てくれた児童相談所」にみんながなれるような相互包摂的社会を、一人ひとりが創りあげていくことが喫緊の課題と考えます。