
自己と世界の出あいが一致している状態とは、自己と世界との境界が消失し、両者が未分化な全一として立ち顕れている状態(ホロニカル体験)を指します。ホロニカル心理学において、これはABCモデルのB点に相当します。
これに対して、自己と世界の出あいが不一致となる状態とは、自己と世界とのあいだに何らかの「ずれ」が生じ、世界が自己に対して対象世界として立ち現れている状態を指します。このとき世界は、自己が内在化しているホロニカル主体(理)によって、多層多次元に分節された現象世界として経験されることになります。これはABCモデルにおけるA点に相当します。
ホロニカル心理学では、A点とB点とを相互に切り離された静的状態として捉えるのではなく、非連続でありながら同時に連続でもある往還的生成過程として理解します。すなわち、私たちの直接体験とは、自己と世界との不一致と一致とが一瞬・一瞬ごとに生成し消滅しつつ展開していく、曖昧模糊とした動的プロセスそのものであるといえます。
そして、この往還的生成過程の全体を、適切な観察主体であるC点から、価値判断や固定的解釈にとらわれることなく、自由無碍に俯瞰することができるとき、重要な気づきが成立します。それは、一見、多層多次元に分節された世界として立ち顕れていたA点が、そのまま即、全一の世界としてのB点でもあり、また全一の世界として立ち現れるB点が、そのまま即、多層多次元に分節された世界としてのA点でもある、というホロニカルな関係性そのものへの気づきです。この気づきがあるたびに、それまで何かよくわからなかった曖昧模糊としていた自己違和感が、腑に落ちる感じへと変容していきます。
このようにみるならば、A点とB点とは対立的に区別される固定的領域ではなく、相互に包摂し合いながら立ち顕れる同一過程の異なる顕れ方であると理解されます。そしてC点とは、その両者を外在的に眺める第三者的視点ではなく、不一致と一致の往還そのものを自己の直接体験として映し取りつつ、その全体を俯瞰しうる観察主体の位相であると位置づけることができます。直接体験は、内我が実感したり、外我が自覚していくための自己照合のための豊穣な基盤といえるのです。