
ホロニカル心理学において真理とは、存在を存在せしめている働きが、自己と世界との出あいにおいて実感・自覚される出来事として理解します。
自己と世界との出あいに不一致が生じるとき、自己は、自らに内在するホロニカル主体(理)の識別基準にもとづいて、現象世界を多層多次元に分節しながら再構成します。この局面において、世界は自己にとって対象化されたものとして立ち顕れ、そこに意味、価値、感情、判断などが生起します。
これに対して、自己と世界との出あいが一致するホロニカル体験においては、自己と世界との境界は相対化され、すべてがあるがままに立ち顕れる全一的な世界が開示されます。そこでは、自己と世界は対立する二項ではなく、相互に包摂し合う一つの出来事として体験されます。
重要なのは、不一致と一致のいずれか一方のみが真理なのではないという点です。真理とは、単に存在するものとの対応にあるのではなく、存在を存在せしめている働きとの一致にあります。ホロニカル心理学では、自己と世界との不一致と一致が、非連続的でありながら連続的に往還するその生成過程のうちに、真理の働きを見いだそうとします。
すなわち、多層多次元に分節された現象世界は、全一世界から切り離されたものではありません。むしろ、それは全一世界が具体的なかたちをとって立ち顕れたものとして捉え直されます。
この関係を自由無碍に俯瞰できるようになると、自己は、個々の現象がそれぞれ孤立して存在しているのではなく、部分でありながら全体を内包し、全体でありながら部分のうちに顕れているという理解がもたらされます。これは、「多即一・一即多」と表現しうるホロニカルな世界理解です。
したがって、ホロニカル心理学における真理とは、部分と全体、自己と世界、個別性と全一性が相互に排除し合うのではなく、互いに包摂し合いながら生成している働きそのものを指します。
このように考えるならば、自己意識が、自己と世界との不一致によって生じる生きづらさに対して、より調和的な関係を求めることは、偶然の働きではありません。それは、自己と世界が本来的にホロニカルな関係にあるがゆえに、自己がその関係を再構成し、より適切な自己と世界の関係を自己組織化しようとする自然な生成運動であると考えられます。