場所的自己(2):生かされている私たち

森羅万象は、場所において起きています。場所をなくしてすべての現象の生成・消滅もあり得ません。場所とは全ての現象が起きてくるところです。

しかしながら私たちは案外場所のことを抜きにして、すべての存在があるがごとくに錯覚しがちです。その典型が私たち自身です。私たちは、「私」と言う存在があたかも場所に関係なく独立自存しているがごとく錯覚してしまうのです。しかし私たちは、地球、宇宙、いや宇宙自体がおいてある場所なくして存在することすらできません。すべての出来事や存在は、場所と不可分かつ非分離の関係にあるのです。

私たちは、「私たちは、生きている」と、主語的な存在として生きているという感覚を持ちがちですが、実際には、「生かされている」という場所的な述語的存在といえるのです。