共同研究的協働(共創)
ホロニカル心理学に基づく、ホロニカル・アプローチは治療ではありません。したがってクライエントとカウンセラーの関係も治療関係ではありません。
ホロニカル・アプローチは、心的な苦悩を通じて、より豊かな人生を歩むのを発見・創造する枠組みを提供する臨床心理学的支援法です。
ホロニカル・アプローチでは、こうした支援法を徹底的に追求していく中で、クライエントとカウンセラーの関係も、共同研究的協働関係というものに自ずとなっていきました。
カウンセラーの共同研究的協働者という姿勢は、治療するという姿勢とは、基本的パラダイムが異なります。
医療は、治療を前提とした治療契約に基づく行為です。治療は科学的裏付けをもった医学的治療行為として、専門性や資格を有する医師によって独占行為として実施される必要があります。しかしホロニカル・アプローチは、あくまでクライエントの主体的意思にもとづく心理相談への支援行為です。臨床心理学的行為と医学的治療行為の両者は、それぞれ明確に独立していて、必要に応じて連携が大切となる併存可能な関係にあるといえます。このことは教育的行為、法律的行為と臨床心理学的行為との関係と同じです。
心的症状や心的問題を契機に、共同研究的協働に取り組んでいると、結果的に心的症状や心的問題が消失したり、心的症状や心的問題の意味が自己違和的なものから自己親和的なものへと変容していくことはいくらでもあります。
ホロニカル・アプローチにおいては、心的症状や心的問題行動は、治すべき対象としてでなく、より生き易い人生を発見・創造するよき契機として扱うことが大切となっています。