ホロニカル心理用語集

ホロニカル心理用語集

ホロニカル心理学は、心的症状や心的問題などの生きづらさを抱える人たちへの心的支援としてホロニカル・アプローチを研究していく中で、これまでの心理学概念のパラダイムから新しいパラダイムへのシフトへの必要性から自然に形成されてきました。
ここでは、ホロニカル心理学やホロニカル・アプローチで用いられる主要概念について説明します。

ホロニカル心理学で用いられる重要概念

1.こころの仕組みを理解する時
に用いられる主な概念
※ホロニカル心理学の心的構造論にあたります。

2.こころのあらわれ方を理解する時
に用いられる主な概念
※ホロニカル心理学の心的現象論にあたります。

3.発達の理解のための概念
※ホロニカル心理学の発達論にあたります。

4.ホロニカル・アプローチで活用される主な概念
※ホロニカル心理学の実戦論にあたります。

5.基礎資料

多層多次元の問題解決への新たな視点:ホロニカル・アプローチ

多層多次元の問題解決への新たな視点
ホロニカル・アプローチ (2024.2.3)

★多層多次元にわたる問題が錯綜する人々に対する支援現場から、心理社会的支援に関する統合的アプローチとして、「ホロニカル・アプローチ」が創発され自発自展し続けている。

★ホロニカル・アプローチの特徴は次のとおり。
1 内的世界の変容が外的世界の変容をもたらし、外的世界の変容が内的世界の変容をもたらしている現実に注目し、内的世界と外的世界を共に扱うことを重視する。
2 内的世界と外的世界の構造化は、自己と世界の出あいの不一致・一致の直接体験をいかに意識化していくかという自己意識の発達と密接な関係にあると考える。
3 ほどよい自己と世界の出あいによる不一致・一致の繰り返しならば、自己と世界の出あいの一致の直接体験(ホロニカル体験)の度に、自己は「真の自己」を覚醒し、適切な自己意識を発達させることができると考える。
4 ミクロからマクロにわたる全フィールドにおける重々無尽の一切合切が、「部分が全体を包摂し、全体もまた部分を包摂しあうような相互包摂関係」を形成する限り、適切な自己と世界を自己組織化することができると考える。
5 「部分が全体を包摂し、全体もまた部分を包摂しあうような相互包摂関係のことを、ホロニカル・アプローチでは、「ホロニカル関係(縁起的包摂関係)」と概念化している。
6 自己意識(観察主体)が自己と世界の出あいの不一致に伴う生きづらさ(苦悩)ばかりに拘泥してしまうと、適切な自己と世界の自己組織化を阻害し、さまざまな症状を自己にもたらし、その累積は症状の重篤化をもたらすと考える。
7 重篤な生きづらさほど、多層多次元にわたって、ホロニカル関係の形成を阻害する悪循環するフラクタル構造を発見することができる。
8 自己と世界の関係の不一致・一致をめぐる関係は、観察主体と観察対象の関係をめぐる不一致・一致に変換することができる。
9 観察主体と観察対象(自己自身を含む森羅万象)の不一致・一致の繰り返しが、多層多次元にわたってホロニカル関係を自発自展的に形成していく限り、適切な自己を自己組織化できると考えることができる。しかし、観察主体が、観察主体と観察対象の不一致に伴う自己違和的体験に視野狭窄的になって拘泥しているときは、多層多次元にわたって、ホロニカル関係が形成できず、適切な自己意識の発達や、適切な自己の自己組織化を阻害してしまう。
10 しかし「9」の状態にあったとしても、観察主体と観察対象の組み合わせがいかなる時に、より一致度を高めていくかを、さらにあるがままに俯瞰できるような適切な観察主体が布置することさえできれば、ホロニカル関係による自発自展が再開し、適切な自己と世界の自己組織化を促進することができる。
11 適切な観察主体が布置を可能とするためには、自己と世界の出あいに伴う生きづらさに関する具体的テーマをいろいろな手段を使って外在化し、外在化された問題を共同研究的に協働する伴走者と共に、より生きやすい人生の道を発見・創造することを可能とするような適切な場を構築することが重要になる。
12 外在化された問題に関して、問題解決に向かって共創的に俯瞰していくことを可能とするような「親密な他者」が、できるだけ多い外的世界を構築することが重要である。

13 適切な自己の発達や適切な観察主体の発達を促進するような共創的俯瞰が働く場は、その場に生きるより多くの人々の適切な観察主体を育むという自己再帰的好循環をつくりだすことができる。

★内的世界から外的世界にわたる多層多次元な出来事の一切合切を、無批判・無評価・無解釈の態度で、固定的視点にとどまることなく、自由無礙に俯瞰することのできるような安全で安心できる共創的な場を構築することが重要です。こうした場は、適切な観察主体の布置を可能とし、適切な観察主体の布置体験の作用が自己内に取り込まれ、適切な自己と世界の自己組織化を促進していくとホロニカル・アプローチでは考えている。

★生きづらさを自由無礙に俯瞰することのできる適切な観察主体の布置は、より生きやすい人生を発見・創造することをもっとも迅速かつ確実に可能にすると考える。

★自由無礙の俯瞰を可能とする適切な観察主体の布置の重要性は、宗教・医学・哲学・心理学・芸術・・あらゆる領域に通底する。

★ホロニカル・アプローチに関係する基礎資料は次のとおりです。
1 「ホロニカル・アプローチにおける基本的な考え方」
2 「ABCモデル」
3 「ホロニカル・アプローチの見立てや方針決定のための基礎資料
4 「自己意識の発達」
5 「自由無礙の俯瞰に向かう観察主体」
6 俯瞰を可能する技法