夢(ドリーム言語)
外我は、自己および世界の理解や関係づくりのために、言語および言語による論理をもっぱら活用します。これに対して、内我は、自己および世界を感じとるために、イメージや表象体系をもっぱら活用します。この時、外我のコトバを第一言語とし、内我のコトバを第二言語とすると、第一言語の通常の言語と区別するため、 ホロニカル心理学では、第二言語のことを、「夢言語(ドリーム言語)」と呼んでいます。
夢言語は、直接体験との密接な関係をもつため、身体感覚などの固有感覚、動作・仕草や情動・感情と深く結びつき、夢に代表されるような表象的イメージや身体言語などが中心となるのが特徴的です。
内我は夢言語を通じて、直接体験を直截的に直覚することが可能となります。
ホロニカル主体(理) によって分別し概念化していく外我の言語活動と異なり、内我の夢言語は、こころの深層において、外我の言語の成立する前、事物がまだ外我によって識別されたりして区別される前、すなわち言葉となる前の感覚をしっかりと内包しています。
外我が言語活動をやめ、かつ内我が夢言語をやめて、自己と世界との出会いの直接体験をそのまま直覚できたならば、その瞬間にホロニカル体験が生起します。
夢言語を媒介とする触れあいが、人と人の間で起きると、連鎖的な共鳴現象が創発され、お互いの情動が猛スピードで伝染するという情動感染現象が生じます。こうして夢言語は、第一言語とは異なる情報伝達能力をもつといえます。
夢言語は身体的な性質をもち、何かと何かをつなげるエロス的機能をもちます。これに対して、第一言語は、物事を細かく因果論的に分解・分析しながら再構成するというロゴス的機能をもちます。
内我の夢言語と結びつきを何らもたない場合の外我は、自己および世界からの現実主体(我) の疎外をもたらします。