ホロニカル心理学では、現実主体(我)を「内我」と「外我」にわけます。
「内我」とは、自己と世界の出会いの不一致の時に立ち顕れてくる自己意識のことですが、「内我」は、もっぱら自己と世界の一致・不一致の直接体験をそのまま直覚しようとします。足の裏が何かに触れている感覚に意識を焦点化している時には、内我が働いているといえます。
「外我」とは、自己と世界の出会いの不一致の時に立ち顕れてくる自己意識のことですが、「外我」は、もっぱら自己や世界を観察対象として、さまざまなものに識別したり区別しようとします。足自体を客観的に観察しようとする時は、外我が働いているといえます。
「内我」と「外我」のいずれが立ち顕れるかは、観察主体と観察対象の関係性をめぐって、自己と世界の出会いをどのように意識しようとするかといった一瞬・一瞬の志向性の差異によって決定されていきます。
自己と世界の出会いは、「内我」の出現時に、自己と世界が一致しやすくなり、「外我」の出現時に、自己と世界が不一致になるということを繰り返しています。
「内我」と「外我」の関係は、さまざまな体験を経ていくうちに、発達段階や個人個人特有の心的構造を形成していきます。
※詳しくは、心理相談室こころ室長 定森恭司著の「ホロニカル・セラピー:内的世界と外的世界を共に扱う総合的アプローチ」(遠見書房,2015)、または、定森恭司・定森露子共著の「ホロニカル・アプローチ:統合的アプローチによる心理・社会的支援」(遠見書房,2019)を参照ください。
2016.12.23 16:56|
ホロニカル心理学では、自己と世界の出会いの不一致・一致の繰り返しの中で生起する意識作用の主体を「現実主体と呼びます。「私」の意識のことです。
従前の臨床心理学・精神医学などでいう「自我」に相当します。ホロニカル心理学的では、「自我」という概念は、西欧的な近代的自我のことを指し、日本人のいう「私」とも異なると考えています。
現実主体(我)は、常に存在しているようなものではなく、自己と世界の出会いの場で起滅しながら、非連続的に連続しているものと捉えます。
「私」という意識の一貫性をもたらしているものは、現実主体(我)ではなく、自己と世界が常に不一・不異の関係として相矛盾し対立しながらも同一の関係として立ち現れるからと考えられます。自我に同一性があるのではなく、自己に同一性があるといえます。
ホロニカル心理学では、現実主体(我)が観察主体となって自己や世界を観察する時の 志向性によって、 「内我」と「外我」 の2つを区別します。
※詳しくは、心理相談室こころ室長 定森恭司著の「ホロニカル・セラピー:内的世界と外的世界を共に扱う総合的アプローチ」(遠見書房,2015)、または、定森恭司・定森露子共著の「ホロニカル・アプローチ:統合的アプローチによる心理・社会的支援」(遠見書房,2019)を参照ください。
2016.12.23 16:14|