場所的自己(5):場を映す自己

は、何かを通して場自身を表現しようとします。場は場自身だけでは何も表現することができません。場は場を映すものを得て、場自身を表現することがはじめてできるのです。また映される何物かも、場が無くては存在することもできません。

その意味では、自己は場を意識野とすることで場を自己に映し、場からみれば、自己を通して場自身を表現できるといえます。

また、自己も自己自身を自己表現しようとしますから、場も自己の自己表現によって変容させられます。

場無き自己などなく、自己無き場など無いのです。

場所的自己とは、場と自己とのせめぎ合いの中で、何かを表現しようとする存在といえるのです。

場のもつ穏やかさは、自己を通して、自己自身を穏やかにします。しかしたとえ穏やかな場でも、自己の激しい怒りは、場そのものを傷つけ、場に緊張をもたらすのです。場と自己は常に不一致・一致のせめぎ合いにあると考えられるのです。