2つの文化(常識)のぶつかりあい

鳴門の渦潮

①お互い様の文化
お互いがあたかも相手の悩みを自分のことのように感じながら悩みを分かち合い、お互いの心の痛みを察しあうことで支えあう文化。これを「お互い様の文化」とします。

②私中心の文化
「お互い様の文化」とは異なり、自分と他人の悩みは異なり、かつ個人的なものなので、お互いの関係はあくまで独立的であり、お互いの内面まではあまり踏み込まず、プライバシーを大切にして、相互の独立と自尊心を尊重し重視しようとする文化。これを「私中心の文化」とします。

現代は、①と②の文化による生き方が激しくぶつかりあっている時代といえます。特に、いまどきの日本人は、欧米の文化の強い影響があって表層的には②の影響を強く受けていながらも、その一方では、①の生き方の影響を“こころ”の深層領域で根強く形成しながら育っています。しかも①と②では、価値観や常識が異なり、簡単にはひとつにはなりません。その結果、多くの人たちは①と②の常識のねじれ現象に遭遇して苦労しています。特に、個人としての生き方と世間を重視した生き方をめぐる対立・混乱が激化しています。

時代の流れは、②に向かってきています。しかし、②の文化だけでは、人と人の関係があまりに無縁になってしまいます。しかしだからといって、昔の①の時代に戻ってしまえば、集団や場ばかりが重視されて個が生かされなくなってしまいます。

大切なことは、個々の人々が、自分常識が他の人と異なることを自覚しながらも共存の生き方を模索し続けることを諦めないこととホロニカル心理学では考えます。

世界の中で唯一かけがえのない存在として生きながらも、一方では、自己超越的な世界から誕生し、その世界としての一員としても生きている自己超越的存在としての存在を実感・自覚しながら生きていくようなあり方が求められているといえます。