心理社会的支援の統合化の必要性

ある箱庭

最近になってやっと心理療法に関係するアカデミズムの世界でも、一派一理論に拘らず、統合的な方向の流れに関して、理論的統合、折衷的統合、同化的統合、共通因子などを分類するなどしてその特徴を学究するようになってきています。

しかしもともと心理社会的支援の現場においては、はるか以前から、複雑化・錯綜化・重層化する今日の生きづらさの問題に対して、福祉・医療・保健・教育・保育・労働・産業など、様々な領域のネットワーク化による統合的アプローチへの方向が自ずと模索されていたように思われます。

ホロニカル心理学では、心理社会的支援の統合化のためには、“こころ”や世界そのものの統合化の作用(働き)に根拠を置くことが重要と考えます。

もともと一即多の関係にある自己及び万物からなる世界は、自己及び世界の自己組織化の働きとして、全一なる関係を求めて統合化の働きを内在していると考えられます。対人援助に関する様々な理論や技法は、この働きからスタートすることが統合化の要となると考えられます。

統合化への可能性は、常に開かれていると考えられるのです。“こころ”と世界に内在する潜在的な統合化作用の実感・自覚に基づく統合化への努力が重要と考えられるのです。