神経症とは

アメリカの精神医学界は、1980年以来、「精神障害/疾患の診断・統計マニュアル」である「DSM-III(第3版)」で、「神経症」という概念の使用を排除してしまいました。

ホロニカル心理学でも「神経症」という概念は使用しません。がしかし、「神経症」状態とは、自己と世界の出あいの不一致・一致直接体験に即して、自己が自己自身に自己組織化することなく、もはや不適切となったホロニカル主体(理)を内在化した外我が、内的現実主体の直接体験の直覚の現実を無視して、内我をひたすらコントロールしようとし過ぎることによって、心身ともに消耗する状態と考えています。内我との対話なき外我が優位となり、理念的な理想(もはや不適切となったホロニカル主体)ばかりにとらわれてしまっている状態といえます。

内我を無視しがちな外我優位な生き方は、自己と世界の出あいの直接体験に即して自己が生きにくくなり、自己と世界という外的対象関係での支配/被支配関係が激化するばかりではなく、外我と内我という内的対象関係においても外我が内我を支配しようとし、内我は抵抗しがちになり、内的葛藤の要因や数々の心身症状を引き起こす要因となります。

こうした神経症的状態から脱却するためには、ホロニカル主体(理)を内在化する外我と内我が対話軸をもち、外我と内我との行ったり来たりの中で、極限のミクロの点から極大のマクロの球にいたる自由無礙の俯瞰が大切になります。そして自由無礙の俯瞰のうちに、自己と世界がより一致しやすくなる新しい関係の構築や、外我と内我がより一致しやしくなる新しい関係をつくりだすような新しいホロニカル主体を創発していくことで脱却が可能となります。