個別性と一般性のホロニカル関係(2):

人間にとって自己の存在は、個別性と一般性(普遍性)を合わせもっています。

人間の場合、人間の肉体的自己を構成するものを観察対象とし、観察主体は自らの肉体的構造を明らかにしていくことができます。骨格や臓器などの有機的器官→有機的器官を組織する細胞→細胞を組織する分子→分子を構成する原子→原子を構成する素粒子?といったように、一般性をもった数理、記号や論理モデルでもって説明できます。しかし、そうした普遍性を帯びている肉体的自己であっても、他方では、かけがえなき個別性を有した肉体的自己であることには何ら変わりはありません。

また、人間の場合、より高次な精神面を追っていけばいくほど、その人固有の人格という個別性を帯びてきます。しかし、そうした特殊性をもった人格も、ホロニカル心理学のいう適切な自己の発達が自己組織化されればされるほど、自己は、自己そのものを創造した創造的世界の絶対的意志によって統一された「それ(IT)」という普遍性を帯びていきます。人間にとって死とは、かけがえなき個別性を帯びた自己が、誰もが共通の普遍性を帯びた自己でもあることのこれ以上の証明はないといえます。

このように人間の自己は、個別性のうちに一般性(普遍性)を包摂し、一般性(普遍性)のうちに個別性を包摂し、個別性と一般性(普遍性)がホロニカル関係にあるといえます。