“こころ”とは(25):脳科学的言説との関係

脳科学では意識水準が、マッチ棒の頭程度の脳幹の「網様賦活系」と呼ばれる座にあることを明らかにしてきています。こうした脳科学の最先端の智慧を識れば知るほど、これまで精神分析などが明らかにしてきた無意識と意識の関係は、脳幹と皮質領域の関係と深く関係があるかも知れないと想定するのは、あながち突飛もない発想とはいえないと思われます。

しかも、主観的世界(意識)と客観的世界(脳)をつなごうとするソームズらが、「このような意味における『意識』は、覚醒している(awake)、気づいている(aware)、注意している(alert)という全体的状態を指しています。意識の状態は気づきの背景レベル、「グローバル・ワークスペース(全体的な作業空間)」のようなものであり、その中で意識のより特異的な内容が起こるのです。それは意識の内容が書かれるページのようなものです。」(Solms,M.,& Turmbull,O.(2002)(平尾和之訳(2007).脳と心的世界.星和書店.127)と語ります。

このときの、「グローバル・ワークスペース」は、ホロニカル・アプローチでいう自己と世界が出あいの意識・無意識を含むすべての直接体験が映されるフィールドに当たると思われるのです。また、「覚醒」「気づき」「注意」とは、ホロニカル・アプローチでいう「実感」「自覚」の脳科学的言説の換言といえます。

特に、自己と世界の出会いの直接体験という自己の底を場(フィールド)の立場から捉え直すとき、そうした場(フィールド)こそ、私たちの意識(現実主体)が、観察対象として意識野であり、その場(フィールド)に、私たちは、“こころ”の働きを感じている場所と考えられます。

 

しかし、“こころ”=脳の働きとまでは言い切れません。“こころ”の働きが、脳が創りだすフィーもっと原点に、“こころ”の働きがあったのではないかという疑問が残るからです。