気分

「恐れ」「怒り」「喜び」などの感情を形成することになるもっと前段階では、身体感覚と情動が不可分一体となった気分が、時々刻々と自己と世界の出あい不一致・一致のせめぎ合いの中で引き起こされているのではないでしょうか。

ホロニカル心理学が定義する気分は、ダニエル・スターン(1934~2012)が指摘した情動の3つのうちの1つである「生気情動(Vitality affects)と相似的概念かもしれません。

気分は、緊張、弛緩、疲労、興奮、爆発、暴走、安定、波、うねり、緩慢といった力動的なるもので、欲動、意欲、動機に深く関係しています。

気分は、喜怒哀楽よりも持続性が無く、むしろ喜怒哀楽の形成の基底になっていると考えられるのです。

気分は、自己と世界の不一致・一致の非連続的な出あいの瞬間・瞬間ごとに波動のように微細かつ繊細に変動しています。そのため人と人の対人関係におけるアタッチメント、共有感覚の形成や、自己自身や他者の気持ちを想像する能力に深く影響すると考えられます。