微細な身体

身心一如を重視する立場からは、これからの心理療法においては、心的なるものばかりではなく、身体的なるものに対しても積極的に取り組んでいく必要があると思われます。

従前の心理療法が、行動、感情、思考やイメージを観察対象としてきたように、行動、感情、思考やイメージと深く結びついている気分や身体感覚の変容にも積極的に焦点化していくことが必要と思われるのです。

しかも、より深層に至れば至るほど、より微細で、より原初的なるものに近づけば近づくほど、被支援者の観察主体と観察対象の関係をめぐるより微細なフラクタル構造が顕在化してきます。このとき被支援者の脆く傷つきやすさを支援者が慈悲深く包み込むことができる限り、被支援者は、より身心一如的な自己を自己組織化し始めることができます。

この層この次元における観察主体と観察対象の関係の微細な変容は、やがて自己自己組織化の基底的変容の創発ポイントになる可能性があると思われます。