共同研究的協働(3 ):主訴の明確化の作業段階からの共創

被支援者と支援者との共同研究的協働関係を構築するためには、まずは、曖昧で漠然としている支援者による主訴の整理のサポートが大切です。

主訴は、過去から現在に至る生きつらさに関するものがほとんどを占めますが、過去の語りが、未来に開かれたものになるような対応が大切です。したがって面接目標は、未来に開かれたものであり、当面の短期目標は、支援者と被支援者が協働することで現実的に達成見込みのある目標を見定めることが肝要です。

支援開始当初の被支援者は、過去に引きずられ、未来が閉塞した状態にあり、被支援者単独では、達成見込みのある短期目標を定めることが困難な場合がほとんどです。それだけに初期段階において、被支援者は支援者との共同研究的協働作業を通じて、実現可能な短期目標を主体的に決定できるような直接体験が大切となるのです。

支援者が見立て、アプローチ法を決定するのではなく、共同研究的協働作業のフレームワークの中で目標とアプローチ法を決定していくプロセスそのものが重要なのです。こうした作業を可能にするためには、あらかじめ定められた一般的プログラムによる対応ではなく、「パーソナライゼーション化されたアプローチ」の発見・創造の視点が必要になります。

毎回の支援のはじめで、<長期目標は○○、短期目標は○○と話し合いで決めましたが、今日の面接の中で、○○さんが特に得たいと思っていることや2人で取り組めそうなことが何かあれば、漠然としていてもいいのでお話いただけますか。もし無ければ、前回・・・の続きの○○について、取り上げていけばよろしいでしょうか>と質問するのも有効でしょう。

毎回の支援の終了時に、<今日の面接を通じて、何か参考になったり有益だった気づきなどがありましたか、あれば教えていただけますか、また何か言い残した感じのことや、見落とした感じのすることなどが、次回以降の面接に生かしたいので、教えていただけますか>と尋ねたり、端的に<次回の面接では、長期目標とか短期目標とか、面接の進め方などについて、再度整理をし、次のステップに生かしていきたと思いますが、いかがですか?>と提案することも、共同研究的協働関係を構築する上でも有効です。

また終了時には、<何が参考になったか、何が支えとなったか>、あるいは、<もう少しこうして欲しかったという要望>などを尋ねることも大切です。