場と個性化

人の場合、まったく同じ場所に居合わせながらも、その場所をどのように受け止め、その場所とどのような関係をとるのかについて千差万別です。森羅万象が進化するにつれて、主観的な働きが強くなり、場所の受け取り方の自由度が拡大したといえます

場所との関係を考える上で、面白い問いがあります。アメリカの気象学者、ローレンツの問いです。「ブラジルのチョウの羽ばたきがテキサスにトルネードを起こすだろうか?」という問いです。この問いは、複雑系の科学でいう「バタフライ効果」として取り上げられます。

この問いに対して、ホロニカル心理学では、ミクロからマクロに至るあらゆる現象は、常に複雑につながっていると捉えています。ブラジルのチョウに限らず、森羅万象、すべての出来事や万物が、なにひとつそれだけで自存自律的に振る舞っているものなど、どこにも一切なく、すべてがすべてと複雑に絡み合い、影響しあって、さまざまな現象が、一瞬・一瞬、同時顕現的に顕れていると考えています。

したがって、一見、千差万別に見える人の場所の受け取り方や、場所との関係の取り方の差違も、ある意味では、すべてがもともと多様性を含んでいる一なる場の多様な個性的な顕れによる差違とも言い換えられます。