共創チームの編成

子ども虐待の当事者(被害者及び加害者)は、人生の歩みの中で、パターナリズム的な態度の身内・指導者・治療者・地域関係者によって、心身共に傷だらけになっていることがほとんどです。その結果、当事者は、自己及び世界(他者を含む)に対して否定的な感情や認知を抱き、新しい支援に対して強い警戒心を抱くことも稀ではありません。

そのため支援関係の信頼関係の再構築のために支援者は、これまでのパターナリズム的支援の被支援者による支援者に対する投影と実際に受けた傷をしっかりと受け止め、かつ新しい関係を構築するための徹底的な創意工夫が必要になります。

こうした実践の中で自ずと培われてきた態度を概念化したものが、ホロニカル・アプローチでいう被支援者と支援者による「共同研究的協働(共創)」関係の構築です。

共同研究的協働関係とは、問題を抱える当事者を、支援者が指導したり、治療するのではなく、具体的な問題を外在化したり可視化し、外在化・可視化された問題について、当事者参加型で当事者と支援者が、生きづらさをもたらしている具体的問題に対する対応策について、「共創チームを編成」し、みんなで一緒に問題を解決する場づくりに徹することがポイントです。支援者中心の支援者から当事者参加型の支援へのパラダイム転換を図ることです。

当事者参加型の共創チーム」のポイントは、具体的な問題解決以上に次の点にあります。それは、がもつ「適切な保護的作用」の当事者への内在化です。ある生きづらさを一緒に悩み一緒に考えあっていくような安全で安心できる適切なほどよい場の作用が、いずれ当事者に内在化され、当事者が問題解決の主体者に変化していくことを促進することにあります。