言語(1)

言語は一般的に私たちの考えや気持ちを表現するものと考えられています。しかしよくよく考えてみると、言語そのものがある意味で私たちの複雑な考えや感情を限定してしまう面もあります。

たとえば、「悲しい」と表現した途端、悲しいという言葉だけでは表現しきれなかったもっと複雑な感覚や感情がどこかに霧散してしまうのです。

言葉とはいったん発せられると強烈な伝達作用を持ちますが、言葉にする以前のもっと複雑な直接体験があることを決して忘れてはならないといえます。