場違いの考慮の必要性

“こころ”の症状や問題の変化について語るとき、ある場所(診察室、面接室、教室・・・)で効果が支援者からみて確認できたとしても、その効果が果たして、どれだけその場所を離れても持続的効果をもたらしているかをしっかりと見定めることが大切です。

盲腸は場所が変わっても基本的症状は同じです。しかし“こころ”の症状や問題は、場所の要因から独立した因果論的説明が可能な身体症状とは異なり、多層多次元な問題が複雑に絡み合っています。そのため、ある場所でみられた効果も、場所が異なれば必ずしも持続するとは限りません。場所が異なれば、異なる症状や問題が立ち顕れてくるのが“こころ”の症状や問題の常です。この事実を、どれだけ支援者が念頭においているかは、エビデンス議論の根幹に関わる重要なテーマといえます。