トラウマの扱い方(11):トラウマを適切な自己の自己組織化の契機とする

トラウマ体験は、不適切なトラウマ記憶を消去すること以上に、トラウマ体験をどのように自らの人生に意味づけ、いかにしてより適切な自己の自己組織化につなげていく契機とする姿勢が大切です。

適切な自己の自己組織化のためには、適切な自己意識の発達及びそれを可能とする適切な観察主体の獲得が必要です。

また、独我論に陥ることなく適切な観察主体を獲得するためには、支援者と共同研究的協働関係を構築することが必要になります。

自己の全体に未統合となったままのトラウマ記憶を、最も効果的かつ短期に自己に統合するためには、トラウマ記憶を徹底的に安全で安心できる場で、支援者と共同研究的協働関係を構築し、トラウマ記憶を、過去の出来事として、今・ここという安全で安心できる場で、あるがままに俯瞰し、全体的自己に統合することができるようになるまでトラウマ記憶の再統合化を促進することが大切になります。ホロニカル・アプローチでは、トラウマケアの技法としても、三点法をはじめとする様々な技法が創発されてきています。