“こころ”とは(50):自己組織化を促進する“こころ”

“こころ”は、物質としての脳の神経・生物学的活動が創り出す随伴現象ではなく、むしろその逆で、脳を個性化する物質活動のネットワーク化を促進し、結果的に自己自己組織化を促進する働きをもったものと考えられます。物質としての脳にこうした働きが関係しなければ、自己は自己組織化することはなく、自己も脳も、統合性や全体性への自己組織化傾向を失って、無機質な物質としてそのまま解体していくと考えられます。

人工知能は、その処理能力をいくら向上させたとしても、自己組織化する命の働きそのものを自ら創造しない限り、人間の“こころ”の補助道具とはなり得ても、あくまで自らを自己組織化する“こころ”を産み出すことはできないと考えられます。知的には人間の能力を超えることはできても、“こころ”をもった人間や生命にはなれないと考えます。

ホロニカル心理学が定義する精神や意識の働きを含む“こころ”とは、個物が全体との不一致が一致の繰り返しの中で、より一致に向かって、何かを自己組織化を促進しようとする命を育む働きと考えられるのです。