共同研究的協働(9):支援パラダイムの変革

共創的支援のパラダイムは、従来の教育、指導、治療、助言、共感などによる支援者と被支援者の関係のパラダイムに抜本的な変革をもたらします。

共創的支援のパラダイムは、支援者中心でも被支援者中心でもありません。ある問題を媒介として、被支援と支援者が共同研究的協働関係を構築し、問題解決を目指すような場づくりを重視するパラダイムです。問題の解決そのもの以上に、被支援者・支援者に関係なく、支援の場に外在化・可視化されたある問題に対して、みんなが我が身に関わる問題として問題を共有し、あれこれ問題解決を模索するような共創的支援の場を創りあげていくことが最も重視されるパラダイムです。

問題解決をめぐって対立する意見を一つにまとめること以上に、さまざまな問題解決の方法や考え方があることが尊重されるような自由無碍な対話の場が重要となるのです。そうした自由無礙の対話の場の中で、被支援者自身がさまざまな意見を参考にしながら自らの生き方を自己決定していくことが大切になるのです。しかも自己決定に際して、どの意見を取り込むのが最も正しいかではなく、安全で安心できるような場の働きが、被支援者の自己にごく自然に取り込まれていくことの方が、持続的で確実なよき変化につながっていくのです。