心的外傷体験

心的外傷体験と漢字で表記すると、あたかも心だけが傷をおったように思われがちです。しかし、それは、誤解です。もともと身心一如の心と身体を二元論的に区別する考え方から生まれる誤解です。

心的外傷体験の記憶は身心一如的に神経生理学的にも深く刻み込まれるのです。そのため、フラシュバック現象はそう簡単に意識的に制御できません。心的外傷体験の持つ、過覚醒、低覚醒、麻痺、知覚過敏性、視野狭窄、強迫性、反復性などの不随性の特徴があるのです。

しかも重篤な場合は、不眠、過食・拒食、気分変動の激変、麻痺、易怒性、爆発性、自己疎外感、離人感、失感情、シゾイド、自己否定感、無力感、自責感、過警戒、恐怖感、無警戒、自己及び世界への基本的不信感や無価値観、厭世感などをもたらします。ホロニカル心理学では、適切な自己自己組織化多層多次元にわたって複数のレベルで阻害され、脆弱な自己が自己組織化されてしまっていると表現されます。

しかし、悲しいことに、脆弱な自己は、再被害性を招きやすくなるばかりか、支援者との対人関係においても、適切な知識を持たない善意の支援者との間でも被害者/加害者関係が再現され、支援関係が破綻しやすいという問題があります。