外在化(4):ポイント

小物を使った外在化

外在化のポイントは、洞察、分析、内省及び共感の大前提となる適切な観察主体を強化することにあります。

適切な観察主体強化のためには、過去よりも、今・現在の自己と世界の出会いに不一致をもたらす出来事を扱うことが大切です。仮に過去を扱う場合でも、過去に原因を求めるのではなく、現在の出来事に影響を与えている過去の出来事を扱う態度が必要です。

執拗に反復される悪循環には、観察主体と観察対象をめぐる悪循環するフラクタル構造が見られます。過去のおぞましい出来事を扱う場合でも、過去を細かく再現すること以上に、過去の出来事をABCモデルでいうおぞましいA点をほどよい心的距離を持ったC点から俯瞰することが、適切な観察主体の強化につながります。

適切なC点から過去のおぞましい出来事が今・現在に与えている思考、感情、対人関係、身体への影響を実感・自覚できることが大切になるのです。また今・現在において、自己と世界の一致のホロニカル体験を増幅・拡充することによって、A点とB点での明らかな直接体験の差異を、適切なC点から実感・自覚できることが大切です。

C点からA点とB点との差異の実感・自覚が可能になると、自己はA点とB点の行ったり・来たりのうちに、自ずと、自己と世界が、不一致の関係にあるとともに、同時に一致する関係にもあることの実感・自覚を深化させます。するとそのような自己の実感・自覚の深化とともに、より適切な自己や世界を自己組織化させながら生きることが可能になってきます。

支援者は、安全・安心な場作りに徹することによって、被支援者の適切な自己や世界の自己組織化を可能とするような適切な観察主体の強化をサポートすることが重要な役割といえるのです。