直接体験(27):経験のままに生きる

自己と世界の不一致・一致直接体験自己照合の手がかりにして生きるとは、我(現実主体)による思慮分別を一切入れずに、経験の事実のままに生きるという意味です。

自己と世界は不一致・一致の出あいを自己が生きる場所で、自己にとっては直接体験として繰り返しています。自己にとっては、直接体験が唯一実在する世界です。自己は、実在する場所の持つ矛盾・対立と統合のせめぎ合いの一切合切を自己自身に映し、それを不断なく内的世界に取り込みながら、間断なく変容しながら自己組織化していきます。

したがって直接体験を自己照合の手がかりとして生きる生き方とは、実在する世界の流れにしたがって生きるもっとも自然な生き方といえます。しながら苦に迷う我々凡人には、なかなか無為自然に生きることなどできません。そこで、直接体験を手がかりにして、できるだけ腑に落ちるあたりを探しながら生きるのが現実的といえます。