オーダーメイドの支援とエビデンス

心理社会的支援における一人ひとりのニーズに即したオーダーメイドによる効果的な支援に関する科学的根拠を持ったエビデンスを明らにすることは、実はとても難しい作業となります。むしろ一定のアルゴリズムを持ち、誰がやっても同じようなマニュアル化されたレディメイドのプログラムの方が比較研究しやすく、そのエビデンスを明らかにすることができるからです。

複雑で有機的なつながりを持ったある現象を科学的に分析する方がさらにに難しいのです。複雑な要因の絡みあったある現象の効果的な変容プロセスのエビデンスを明らかにしていく方が、これまでのエビデンスより、より難しいと考えられるのです。

特に多層多次元にわたる重層的問題が絡みあった虐待問題に対応する心理社会的支援における個別のニーズに応じた有効な変容に関する実証的研究においては、これまでの科学的研究法では不十分であり、新しいエビデンス研究が必要とされています。