自己と世界(16):不一致の個人差

被支援者が、自己と世界の出あい不一致の原因をどんな要因に帰属させ、しかもそのことによってどのような気持ち(不安、恐怖、絶望、無力等)を抱くかについては個人差があります。不一致感が個人で異なります。こうした個人差や、逆に他の人との類似性について、支援者と被支援者が不一致と一致の体験を共にしながら被支援者の特徴を共有化することが、被支援者の適切な自己自己組織化のために重要な手がかりになります。

特に、不一致に対して被支援者がどんな要因に帰属させているのかを明らかにしていくことが大切です。

ホロニカル・アプローチでは、支援者が被支援者の特徴を一方的に明らかにするのではなく、被支援者の特徴を支援者と被支援者が共同研究的に取り組むのが特徴です。しかも、被支援者がいかなる態度をとると自己と世界が一致しやすくなり、より生きやすい人生の道を発見・創造できるかについて、被支援者と支援者が共創的に探究していきます。

ホロニカル・アプローチでは、こうした共同研究的協働を可能とするのは、被支援者と支援者との関係に共創的俯瞰構図がコンストレーションしたときと考えています。自己と世界の不一致の因果論的探究をも包摂して、自己と世界の出あいの不一致と一致の繰り返しという矛盾そのものを絶対矛盾的自己同一という非因果論的な立場からあるがままに直観的に了解していくのです。