プラグマティズムとホロニカル心理学は、かなり親和性があります。特に、真理や意味を固定的実体ではなく、経験・行為・結果・変容の中で捉える点で近いです。プラグマティズムは、認識を世界内での行為と切り離さず、真理を探究や実践の中で検証されるものとして考えます。 
共通点としては次のようなものをあげられます。
第一に、両者はともに、観念や理論を抽象的に閉じた体系としてではなく、生きられた経験の中で働くものとして捉えます。プラグマティズムでは、ある考えの意味は、それを受け入れたときに生じる実践的帰結に見いだされます。 ホロニカル心理学でも、概念や解釈は、被支援者の直接体験をどのように変容させ、自己と世界の関係をどのように再組織化するかによって意味をもちます。
第二に、両者は主体と世界の関係性を重視します。デューイのプラグマティズムでは、経験は有機体と環境との相互作用として理解され、探究は不確定な状況を再構成する過程とされます。これは、ホロニカル心理学における「自己と世界の出あい」「不一致と一致の往還」「自己組織化」とよく響き合います。
第三に、両者は変容を重視する実践哲学です。プラグマティズムでは、行為は単に信念を表すだけでなく、環境や関係を変えるものとして理解されます。 ホロニカル心理学でも、支援とは単なる内面理解ではなく、自己と世界の関係構造そのものが変容していく過程です。
相違点としては、次のようなものが挙げられます。
もっとも大きな違いは、プラグマティズムが主に行為・探究・有用性・問題解決を中心に展開するのに対し、ホロニカル心理学は、より根源的に“こころ”という場における自己と世界の生成消滅を扱う点です。
プラグマティズムは、「その考えは実際に働くか」「問題状況を改善するか」という実践的帰結を重視します。一方、ホロニカル心理学は、それに加えて、そもそも「自己」「世界」「問題」「意味」がどのような場において分節されて立ち顕れるのかを問います。
また、プラグマティズムは比較的、日常的・社会的・科学的探究に開かれた実践哲学です。ホロニカル心理学はそれに加えて、ABCモデルでいうB点のような主客未分化的な一致体験(ホロニカル体験)、A点の不一致(自己違和的体験)、C点の俯瞰という構造を通して、主観と客観が分かれる以前と以後の往還を理論化します。
プラグマティズムは、経験・行為・結果を通して意味と真理を捉える実践哲学である。ホロニカル心理学は、その実践的経験が生起するさらに根源的な“こころ”の場において、自己と世界の不一致一致と再統合の生成過程を捉える心理学である。ホロニカル心理学は、プラグマティズムの実践性を包摂しつつ、その基盤にある“こころ”の場と直接体験の生成構造を明らかにしようとする立場です。