罪悪感と意識の変化

初日の出

人が罪悪感を感じる時には、これまでの人生の中で取り込んできた道徳観と、今、感じはじめているが、まだ自分なりの価値基準としては十二分には確立してない、未形成の感覚との間で内的な葛藤があります。

葛藤とは、これまで取り込んできた古い文化と、自分がこれから新しい生き方を模索する上での創造的なぶつかりあいともいえます。この時、両者の間に大きなズレがなければ罪悪感は軽くなり、変容も漸進的な様相となります。しかし、両者の間に大きな溝があると、罪悪感も強くなり矛盾は激しい相剋となって出現します。

特に価値の多様化が急激な時代の中にあっては、人々は生き方の指針をめぐって混乱し、過去に内在化した価値との間で葛藤し、さまざまな罪悪感に苦悩することになります。古い価値に従おうとすればするほど、どうしても納得しきれない新しい感覚を抱きつつある自分自身を処理しきれなくなる苦悩が拡大します。こうした時には、罪悪感をもたらしている古い価値観を見直すために、いったん自分自身から切り離し、心理的な距離をとって、批判的・客観的に俯瞰し、もう一度自分にとって消化すべきものと排出すべきものを区別してみることをホロニカル心理学ではお勧めしています。

この時、単純に古い価値を全面否定して、内的な沸き上がる衝動や感覚のままに動けば動いてしまうと、周囲の人達との軋轢を高めるだけの結果に終わることが多いので注意が必要です。こうした作業を通じて、“こころ”のより深部に時代の変化に影響を受けないようなより普遍的な価値を再発見し、より浅い層の様々な価値に関しては相対的に捉えなおしていくことを通じてを自分なりの価値を発見・創造することが大切になります。

価値の多様化の中に創造的に生きるということは、多様な価値の存在を受け入れるとともに、自分なりの価値を主体的に創造することいえます。