ホロニカル心理用語集

ホロニカル心理用語集

ホロニカル心理学は、心的症状や心的問題などの生きづらさを抱える人たちへの心的支援としてホロニカル・アプローチを研究していく中で、これまでの心理学概念のパラダイムから新しいパラダイムへのシフトへの必要性から自然に形成されてきました。
ここでは、ホロニカル心理学やホロニカル・アプローチで用いられる主要概念について説明します。

ホロニカル体験

忘我して、自己と世界が無境界となって、すべてをあるがままに一如的に体験している時のことを、ホロニカル心理学では、「ホロニカル体験」と呼びます。

忘我奪魂のうちに、あるがままの世界が、なんら曇りなくあざやかに叡智の光に照明されるようにして立ち現れてきます。こうした感覚は、私が世界を見ているという感覚がないため、あたかも世界が(私を通して)世界自身を見ているような感覚となります。

ホロニカル体験は、現実主体(我) の意識が無我状態になったために起きます。
観察主体が観察対象との間の分断がなくなり、観察主体と観察対象が一致し、ホロニカル主体(理) 、現実主体(我)と自己及び世界との区分がなくなり、すべてが直接体験そのままになった時といえます。

ホロニカル体験時には、「自己と世界」「我と汝」「内的世界と外的世界」「無意識と意識」の境界が超越され、目の前の万物が一切同時現成する境地となります。

ホロニカル主体の次元の違いによって、低次のホロニカル体験から高次のホロニカル体験まであります。より高次なホロニカル主体(理)の影響下にあるホロニカル体験ほど、自己と世界の一致の全一体験の自覚が持続的なものに深まっていきます。
ホロニカル体験の度に、新たなホロニカル主体(理)が創発され、 IT(それ)」実感・自覚を深めていきます。

ホロニカル体験は誰にも瞬間的にはいつでも起きている現象ですが、多くの人は自覚なく生活しています。また自覚できたとしても、観察主体という私に関する意識がほんの刹那でも働いた瞬間にホロニカル体験は遠のくため、ほとんどの人は持続が難しいといえます。

最近、よく言われるようになった「マインド・フルネス」は、ホロニカル体験の一部といえます。

ホロニカル体験時には、人生の些細な苦悩や煩悩が、そのままで自己と世界が全一となった感覚によって包まれ恍惚と至福に変容します。こうしたホロニカル体験の累積が、自己と世界の不一致からくる生きづらさから、人を根底から支える基盤となります

※詳しくは、心理相談室こころ室長 定森恭司著の「ホロニカル・セラピー:内的世界と外的世界を共に扱う総合的アプローチ」(遠見書房,2015)、または、定森恭司・定森露子共著の「ホロニカル・アプローチ:統合的アプローチによる心理・社会的支援」(遠見書房,2019)を参照ください。