ホロニカル心理用語集

ホロニカル心理用語集

ホロニカル心理学は、心的症状や心的問題などの生きづらさを抱える人たちへの心的支援としてホロニカル・アプローチを研究していく中で、これまでの心理学概念のパラダイムから新しいパラダイムへのシフトへの必要性から自然に形成されてきました。
ここでは、ホロニカル心理学やホロニカル・アプローチで用いられる主要概念について説明します。

心的症状や心的問題(生きづらさ、苦悩)

“こころ”が何らかの理由で融通性を失ってしまうと、心的症状や心的問題などの生きづらさや苦悩となります。

ホロニカル心理学では、自己と世界が不一致・一致を繰り返すとき、自己と世界の不一致があまりに累積すると、観察主体と観察対象をめぐって、ホロニカル主体(理) 現実主体(我) 自己(直接体験) との関係が、自己の適切な自己組織化を促進することができなくなり、心的症状や心的問題を形成すると考えています。

心的症状や心的問題とは、適切な自己の自己組織化を阻害する「融通性を失った部分(ホロン)」と言い換えられます。
融通性を失ったホロンには、観察主体と観察対象の関係をめぐって、あらゆる不適切な悪循環パターンが織り込まれています。

頑固な心的症状や心的問題は、“こころ”の多層多次元にわたって、自己の自己組織化を阻害するような不適切なフラクタル構造を形成していってしまいます。

そこで、ホロニカル・アプローチでは、ホロニカル主体(理)、現実主体(我)、自己(直接体験)における固定的になってしまった心的構造の流動性を再度活性化させ、できるだけ自己と世界が一致する方向に自己の自己組織化を促すことを重視します。

“こころ”のある層やある次元の融通性を失ったホロン(ある心的症状やある心的問題)に対して、融通性をもったホロンの形成を根気よく積み上げていけば、やがて新たな適切なフラクタル構造を創発していくような共変変化(フラクタル構造のページを参照)が起きます。

局所的な意味のある小さな変容(融通性をもったホロン)が、“こころ”の他の層や他の次元での変容を連鎖的に呼び起こします。

心的症状や心的問題などの生きづらさや苦悩は、新しい生き方の発見・創造の契機となるといえるのです。

※詳しくは、心理相談室こころ室長 定森恭司著書の「ホロニカル・セラピー:内的世界と外的世界を共に扱う総合的アプローチ」(遠見書房,2015)、または、定森恭司・定森露子共著の「ホロニカル・アプローチ:統合的アプローチによる心理・社会的支援」(遠見書房,2019)を参照ください。