直接体験(自己と世界の出あい)
自己と世界の出あいは、直接体験となります。
自己と世界は、自己と世界の不一致・一致の出あいを繰り返しており、直接体験には、いずれもの体験も含まれます。
直接体験には、意味、価値、方向性などの理を含む精妙な感覚の揺らぎが含まれます。この揺らぎが、自己や世界の実感の基盤となっています。
直接体験には潜在的理が含まれ、現実主体(我) が自覚すると顕在化する理(ホロニカル主体(理) )に変わります。
直接体験に対して開かれた態度をとるのか、それとも閉じた態度をとるのかは、自己と世界の関係の認識の違いをもたらします。開かれた態度をとる時、全存在、全世界が、観察主体によって、分断され、バラバラの万物によって構成されていた世界が、一気に、全一的存在として、あるがままに実感・自覚されます。ホロニカル心理学で、ホロニカル体験と呼ぶものです。
「自分が薔薇の香を嗅いで幼児の追憶に耽る時、自分は薔薇の香に因って幼児の記憶を想起したのではない、香の中に幼児の記憶を嗅いだのである」(ベルグソン)というように、直接体験には、すでに過去となった記憶も含まれています。また、これから開けてくる未来の予感も直接体験に含まれています。
人間の直接体験には、物理・生物的世界だけではなく、歴史・社会的世界としての世界も含まれています。
心理学は、直接体験の直覚との自己照合に基づくものでなくてはならないと考えます。