脳と“こころ”(4):自己および世界に反応する脳

脳科学を脳神経学からみる研究者の一部には、心の作用のすべてを脳の働きに還元できるため、改めて「心」などという概念など持ち込む必要はないと断言する人がいると聞きます。

しかし、脳は自己及び世界からの刺激に反応しており、いくら脳神経学者が自らの“こころ”の働きを消そうとしてところで、科学者の“こころ”の働きである観察主体が自己及び世界の現象に反応してしまっていることを否定できないのではないでしょうか?

「心」などないという言説を主張する人たちもその言説そのものが、「心」の作用なのか、それとも脳の働きによるものなのか、そう主張する人の「心」の作用を離れて主張することすらできないという絶対的なパラドックスがあるといえます。

脳還元主義的主張も、ひとつの仮説としてしかないといえます。

そしてそれ以上に重要なことは、そもそも脳はいかにして形成されてきたのか、また脳を動かす働きは一体、何によるのかを明らかにしていくことだと思われます。