
自由無礙の俯瞰による無限の対話が、適切な自己の自己組織化を促進するというのが、ホロニカル・アプローチの基本的考え方です。
自由無礙の俯瞰は、固定的な鳥瞰図的な定点観察とは異なります。自由無礙の俯瞰にあっては、無限の観察主体と無限の観察対象が、相互に入れ替わったり、観察主体が無限の究極の点となって観察対象が無限の究極の球になったり、観察主体が無限の究極の球になって観察対象が無限の究極の点になったりすることが、自由無礙の俯瞰です。
自由無礙の俯瞰によって、観察主体と観察対象の絶対弁証法的な対話を深化させていくことが可能となります。観察主体が観察対象を自由無礙に俯瞰することによって、観察主体が観察対象を包摂することを促進します。また観察対象だったものが反転して自由無礙な観察主体となって、これまでの観察主体を観察対象とすることによって、これまでの観察対象がこれまでの観察主体を包摂することを促進します。
こうした無限の対話を促進することによって、「外的世界即内的世界」「内的世界即外的世界」「外的対象関係即内的対象関係」「内的対象関係即外的対象」という「外即内」「内即外」の関係の構築し、「自己」と「世界」の無限のホロニカル的関係(縁起的包摂関係)を深化・促進させていくことが可能となります。
観察主体Aが、観察対象Bを俯瞰し、働きかけることによって、観察主体Aは観察対象に限定されることによってA’に変容するとともに、観察対象Bは観察主体Aに限定されることによってB’に変容します。そして次に今度は、B’を観察主体とし、A’を観察対象として、俯瞰し、働きかけます。すると、A’は、今度は、B’によって限定されることによって、A”に変容するとともにB’は、A’によって限定されることによってB”に変容します。こうした内化・外化の無限の交互的対話を無限に反復していくと、究極的には「観察主体即観察対象」「観察対象即観察主体」、すなわち、「自己即世界」「世界即自己」というホロニカル関係(縁起的包摂関係)を深めていくことが可能となります。
自己は観察主体となって世界(他者や非自己)を観察対象とし俯瞰しながら世界に働きかける時、自己は世界によって限定され変容され、世界もまた自己によって変容させられるのです。両者が絶対的に矛盾しながら自発自展的に関係を深化させていくのです。
主体が客体を限定し、客体が主体を限定しながら、両者とも変容していくのです。
作られたものが作るものになり、作るものが作られるものになるのです。働きかけられたものが働きかけるものになり、働きかけるものが働きかけられるものになるのです。見られたものが見るものになり、見るものが見られるものになるのです。包まれたものが包むものになり包むものが包まれるものになるのです。
自由無礙な俯瞰は無限の対話のうちに、究極の作られたもの、働きかけられたもの、見られたものが、作るものであり、働きかけるものであり、見るものであることに目覚めていくのです。そうした関係にある究極に、ホロニカル心理学で考える、“こころ”があると考えられるのです。
このように自己と世界の一致を求めて、“こころ”の深化を促進するのが、ホロニカル・アプローチの特徴といえます。