主観と客観(1)

一般的には、主観とは、「心」の作用からなる内界を指し、それに対して客観は「物」からなる外界の世界と考えがちですが、ホロニカル心理学では、主観と客観の関係は、実在するものを両極から見た差異であり、本来、主客合一にあるものを、表裏一体、相即不離の関係から捉えなおした関係と考えます。

「主観とは一つの世界の構成作用の中心と言う如きものであって、客観界とはこれに依って構成されせられたものと言うことになる。厳密に言えば、主観と客観とは一つの実在の両極とも言うべきものであって、相離すことのできないものである。」(西田幾多郎,1917)と、ホロニカル心理学でも考えるのです。

ホロニカル心理学では、実在するものとは、自己と世界の出会いによる直接体験であり、観察主体と観察対象に分岐した途端、直接体験が主観的世界と客観的世界として再構成されていると考えているのです。

<参考文献>
西田幾多郎(1917),種々の世界(上田閑照編(1987),場所・私と汝 他六篇:西田幾 多郞哲学全集Ⅰ.岩波文庫;p10.)