直接体験(11):場への呼応としての直接体験

私たちが、なんらかの出来事や物に対してなんらかの知・情・意を感じたり、感覚を覚える時というのは、厳密には私たちの我(現実主体)となって物事を感じているというより、自己が場に対して、なんらかの知・情・意や感覚を覚えることといえます。に呼応し反応するのは、我(現実主体)ではなく自己といえるのです。

無論、自己(場所的自己)と場は一致するとは限らず、むしろ不一致と一致を絶え間なく繰り返していると考えられます。自己(場所的自己)と場が不一致・一致を繰り返すことが自己と世界の不一致・一致の出あいの直接体験そのものといえるのです。

場所的自己の直接体験を直覚するのが内我とし、直接体験を識別・認識するのが外我とすると、場所的自己と内我と外我の間には微妙な不一致が起きます。そこで内我と外我ができるだけ無となって場所的自己そのものを直覚する時、自己は場所(自己と世界を含む)と一致する方向に向かって自己を自己組織化する可能を高めることができます。