直接体験(12):相矛盾するあらゆる働きを直に体験する


(以下の文章は、2021年9月22日に公開したものを2026年08月04日に加筆修正をしたものです)

ホロニカル心理学でいう自己と世界の不一致・一致の出あいの直接体験とは、有としての物や無としての意識を体験するだけのことではありません。それは、物の世界や意識の世界を立ち顕れさせる働きと、それらを統合する働きとが一体となって、一即多・多即一の世界が自発自展している宇宙そのものの生成的な働きを、無批判・無評価・無解釈のまま、あるがままに直に体験することです。

では、この多層多次元な世界を立ち顕れさせている根底には、何があるといえるのでしょうか。

ホロニカル心理学では、その根底には絶対無(空)があると考えます。さらに、この絶対無(空)のにおいて、私たちは言葉になる以前の次元で、“こころ”の働きを実感しているのではないか、という仮説を立てています。

ここでいう“こころ”とは、精神現象だけを生み出す働きではありません。それは物理現象をも含め、あらゆる生成と消滅を成り立たせる根源的な場としての働きです。そのため、一般に心身二元論で用いられる「精神」や「心」とは本質的に異なる概念です。

ホロニカル心理学では、この“こころ”の場において、精神現象と物理現象とは絶対矛盾的自己同一の関係にあると考えます。そのため、精神と物質は互いに独立した二つの実体ではなく、“こころ”という根源的な場において、同一の生成過程の異なる相として同時に立ち顕れていると捉えています。