支援者の姿勢

ホロニカル・アプローチでは、自己と世界不一致・一致の体験を被支援者自身があるがままに受けとめ、自己と世界がより一致する方向に自己自己組織化できるように支援することに徹します。助言、意見や提案をしたとしても、被支援者自身に提案内容に関する自己照合を求め、被支援者が腑に落ちることが大切と考えます。

支援者が無知の被支援者に対して、何か特定の正しい道に導いたり、あるいは物知りのごとく何か解釈したり助言するような姿勢を避けます。

あくまで被支援者の生きづらさに寄り添い、被支援者が自らの変容プロセスに信頼をおけるようになるまで、共同研究的な協働関係を構築し続けていきます。支援者の役割は、被支援者が自らの直接体験を自らのものとして実感・自覚できるように支援することです。

自己と世界の不一致・一致という外的対象関係は、被支援者自身の外我と内我の不一致・一致という内的対象関係に変換することが可能です。そこで支援者は、被支援者の外的対象関係と内的対象関係の不一致ができるだけ一致する方向を被支援者と共に模索することになるわけです。

まず自己と世界の不一致・一致の非連続的直接体験の断片同士をつなぎ合わせて統合的に直覚できる被支援者の内我づくりを支えます。次に、内我が直覚した経験を自己照合の手がかりとして、できるだけ自己と世界が一致する生き方を可能とするホロニカル主体(理)の発見と創造を可能とする外我づくりを支援するのが支援者の役割となるのです。

内的対象関係の一致とは、外我が抑圧した内我の自己充足的欲求を解放するニュアンスをもった伝統的なアプローチとは異なり、その都度その都度実感されてくる直接体験を、内我と外我が適切な対話軸を形成しながら一致を求めていくという作業となります。