コンステレーション

ホロニカル心理学も影響を受けているユング派の心理療法においては、コンステレーション(元来星座の意味)をとても重視します。しかし、このとき、無限の星々の中から、ある星座を発見することに匹敵するような心理面接における作業は、支援者によってではなく、被支援者と支援者の共創的関係の中から発見されるものと理解することが大切です。

共創のためには支援者は、コンステレーション現象がある場所において創発されてくるまで、被支援者の苦悩を何とかしようとして動かないことが肝要です。

もし支援者が問題となる星座を発見するような支援ならば、その星座は、支援者が無限の星々から恣意的な星座を発見しただけのものとなる危険性を免れません。それでは、支援者が苦悩の意味や出口と思い込んでいるパターンを恣意的に発見しただけであって、被支援者は蚊帳の外に置かれてしまいます。また逆に被支援者が何かあるパターンを発見したと思っても独我論的なものとなり、支援者や周囲の人からすれば、了解不可能となります。

被支援と支援者が、ある場所(支援の場)において、お互いの自己(場所的自己)に自ずと映し出されてくる苦悩の布置の了解が大切なのです。被支援者と支援者が共に実感できる星座のような悪循環パターンの了解といえます。ある時、ある一瞬において、過去の一切合切が今・ここの瞬間に収斂し、共時的に重ねあって共振れした瞬間、非言語的次元でコンステレーションしたと感じるときが訪れるのです。

コンステレーションを通じて、支援者と被支援は直接体験レベルでの深き苦しみを共にすることができます。被支援者の不一致の支援者による一致の瞬間といえます。こうした不一致の一致は、被支援と支援者の共同研究的協働による、より生きやすい生き方の共創的発見や創造を可能とします。そしてやがて被支援者は、支援者の支援がなくとも、他の誰かと新しい人生の共創を自ら可能としていきます。

この作業を一人で行おうとする人や、カルト性やカリスマ性を帯びたスピリチュアル世界への無批判的で無防備な参入は、魂の危機からの救いを求めながら、一歩間違えれば、誇大的万能的な気分となって自我肥大化したり、神秘的体験と妄想的魔界の境界が曖昧になるなど、とても危険な心的世界に参入してしまうことを肝に銘じておくことが大切です。