“こころ”とは(42):因果の究極的原因

ホロニカル心理学が、“こころ”は絶対無(空)というのは、すべての因果の究極的原因は、“こころ”にあるということです。絶対無(空)の“こころ”が、無の揺らぎの中で、生成消滅する一切合切の森羅万象を無限に創り出していると考えているのです。意識・無意識といった相対的に無とされているものや、物質のような相対的に有とされているものからなる絶対有としての全宇宙を創造しているものが、絶対無(空)としての“こころ”の働きによるとみなしているのです。ただし唯物論に対立する唯心論でもありません。心身二元論的な“こころ”の捉え方ではなく、非二元論的な“こころ”の捉え方です。

こうした“こころ”の捉え方は、個人の意識を中心とした自己に閉じた心理学の心の捉え方とは異なります。自己の内・外の自然のはからいが、“こころ”という捉え方です。「自然のはからい」を「仏のはかない」とするならば、即心即仏といった考え方と相似的です。

こうした自然のはからいに、全世界自身を全世界から創造したという超越論的な神話的イメージが付与されると、それぞれその時代・社会組織が信仰する宗教となります。この自然のはからいを、物を動かす力の働きとして探求していくと物理学になります。この自然のはからいの法則を論理的に探求していくと数学になります。この自然のはからいを知覚的に表現していくと芸術になります。