心理学(6)

もともと無の“こころ”が、一人ひとりの想いによって動き出し、有の“こころ”の出来事となります。そうした思いは、通常、場所不一致・一致場所的自己に映すことから生じる“こころ”の微かな“ゆらぎ”から始まります。

ところが、ほんの僅かな“ゆらぎ”であっても、同じ場所に生きながら、お互いの想いが互い違いになって激しくぶつかると、“ゆらぎ”は一気に増幅され、その場所に生きる人々のすべての“こころ”を巻き込み、場所全体の“こころ”が荒れていってしまいます。

しかし、そうした“こころ”が傷つき、消耗すときにあっても、また新しい生き方を発見・創造する人がでてきます。

そうした発見・創造をする人を目のあたりにするとき、あの人のおかげといった具合に、特定の個人の力のように錯覚しがちです。しかしそうした人も、場所の乱れを場所的自己に映し、場所的自己と場の不一致に対して、場と自らの場所的自己がほんの少しでも一致する方向に、“こころ”の赴くまま動いているといえます。

心理学を学ぶ学徒は、人に習ったり、聞いて教えを乞うだけではなく、それ以上に、人の思いを動かしている“こころ”の働きそのものから学ぶ姿勢が大切といえます。