「エス」と「IT(それ)」(5)

「エス」及び「IT(それ)」の働きは、我や物が持つ働きではなく、そもそも我や物という現象を創り出す“こころ”の働きといえます。主観と客観が分かれる前の主観・客観の根底に覆蔵されている“こころ”の働きです。

「エス」及び「IT(それ)」の働きがあることで自己と世界が我(現実主体)の主観と世界という客観となって識別され統一されます。「エス」及び「IT(それ)」の働きによって、一切合切の個性的自己組織化が自発自展しているわけです。

自己の自己組織化には、自己を超えた超個的な“こころ”の働きがあるのです。

それに対して、欲動、欲求、願望や、ホロニカル主体(理)は、自己と世界が不一致のときに我がもつ“こころ”の働きといえます。

ここに我や物を創り出す超個的な“こころ”の働きと、我という個の持つ“こころ”の働きの間にズレが生じることになります。

ズレが起きたときは、我が我を忘れ、自己と世界が、できるだけ「エス」及び「IT(それ)」の働きが一致する方向に向かうとき、適切な自己と世界の自己組織化が可能になります。